「ブレインストーミングをしても、いつも同じようなアイデアしか出ない…」
「一人で考えていると、どうも発想が広がらない…」
そんな会議やアイデア出しの「マンネリ化」に悩んでいませんか?「この場にあの分野の専門家が一人いてくれたら、もっと話が進むのに…」と感じる瞬間は、誰にでもあるはずです。
もし、その悩みをAIが解決してくれるとしたら?
この記事を読めば、あなたの企画会議に世界中のあらゆる専門家を、無料で、しかも一瞬で呼び出すチート級の技法が身につきます。AIへの漠然とした質問を卒業し、具体的で質の高い「神回答」を引き出す秘訣を学びましょう。
なぜ、いつものブレストは行き詰まるのか?
そもそも、なぜ会議やブレストは行き詰まってしまうのでしょうか。
その根本的な原因は、アイデアの質が「その場にいる参加メンバーの知識や経験に完全に依存してしまう」からです。どんなに優秀なチームでも、メンバーが同じであれば、思考のパターンも似通ってしまいがち。結果として、いつもと似たようなアイデアばかりが生まれるという悪循環に陥ってしまうのです。
もちろん、新しい視点を取り入れるために、その道のプロを毎回会議に呼ぶのが理想ですが、時間もコストもかかり、現実的ではありません。この「メンバーの固定化」こそが、思考の壁を生み出す最大の要因なのです。
解決策はAIに「専門家ドリームチーム」を召喚すること
では、どうすればこの壁を打ち破れるのでしょうか。答えは、AIにあります。
想像してみてください。もし、あなたの企画会議にスティーブ・ジョブズや経営学者のピーター・ドラッカー、さらには超人気のお笑い芸人や宇宙飛行士が同時に参加したらどうでしょう?
きっと、とんでもない化学反応が起き、誰も思いつかなかったような革新的なアイデアが生まれるはずです。
「そんなの夢物語だ」と思いますか? いいえ、今回紹介するテクニックを使えば、AIに様々な専門家を「憑依(ひょうひ)」させ、この夢のドリームチームとの会議を、あなたのPCの前でボタン一つで実現できるのです。
これを可能にするのが、AIに特定の役割を演じさせる「専門家召喚(しょうかん)プロンプト」です。漠然と「良いアイデアをください」と質問するのではなく、「〇〇の専門家として答えてください」と役割を与えることで、AIの回答の質と具体性が劇的に向上します。
【実践】AIに「最高のプロンプト」を考えさせてみた
ここからが本番です。今回は「AIから最高のアイデアを引き出すための最高のプロンプトとは?」という、少しメタ的で面白いお題をAIに投げかけ、実際に専門家チームにブレストをしてもらいました。
使ったのは、以下のコピペして使える基本プロンプトです。
あなたは以下の専門家で構成されたドリームチームです。
それぞれの専門家の観点から、「AIから最高のアイデアを引き出すための最高のプロンプト」について、具体的なアイデアを提案してください。
# 専門家リスト
- クリエイティブな専門家
- 技術専門家
- ビジネス専門家
- 学術研究者
- 社会科学者
- ユーザー視点の専門家
- ディスラプター(破壊者)
- ユーモアのセンスを持つ人
このプロンプトに対して、AIは各専門家になりきって、驚くほど多様な回答を返してくれました。いくつか抜粋してご紹介します。
- クリエイティブな専門家「もしも歯ブラシが感情を持ってユーザーに恋をしたら、どのような問題が起こり、それを解決する新しいデザインや機能はどんなものになる?」
常識の枠を外し、感情に訴えかける突飛な問いを提案してくれました。 - 技術専門家「ある特定の技術が今後10年で指数関数的に進化すると仮定して、その進歩を最大限に活用し、業界の問題を解決するアプリケーションのアイデアを技術仕様の概要と共に提案してください。」
具体的な「背景」や「前提条件」を指定することで、実現可能性の高いアイデアを引き出そうとしています。 - ビジネス専門家「あるアイデアを市場に投入する際の価値設定について、3つのアプローチをシミュレーションし、メリット・デメリットを分析して、最終的な推奨案を理由と共に提示してください。」
収益化やビジネスモデルといった、事業の成功に不可欠な視点を提供しています。 - ディスラプター(破壊者)「大学教育における誰もが疑わない常識を10個リストアップし、それがもし完全に間違っていると仮定して、その逆を真実とした場合にどのような新しいビジネスが生まれるか、過激なアイデアを5つ提案してください。」
業界の常識や既存のルールを根本から覆す、革命的なアイデアを求めています。
これらの例から分かるように、良い答えを引き出すには、単に質問するだけでなく「役割(専門家)」「背景(前提条件)」「手法(思考フレームワーク)」を具体的に指定することが非常に重要なのです。
【プロの技】回答の解像度を上げるには「専門家を絞る」
多くの専門家を一度に召喚すると、多様な視点が得られる一方で、一人ひとりの回答が少し浅くなる傾向があります。
あなたは「超一流のコピーライター」と「イグノーベル賞を受賞した認知心理学者」です。
この二人の観点から、「最高のアイデアを引き出すAIプロンプト」を考えてください。
面白そうな答えが返ってきそうですよね。
このように専門家を絞ると、AIはそれぞれの役割をより深く演じ切ろうとします。実際にこのプロンプトで質問すると、コピーライターは「人間の感情を揺さぶる言葉を使え」と答え、認知心理学者は「認知バイアスを利用しろ」といった、より専門的で具体的な回答が返ってきます。
これが、専門家を絞ることで回答の「解像度」を上げる効果です。
まとめ
最後に、ポイントを3つにまとめます。
- ブレストのマンネリはメンバー固定が原因。 AIを使っていつもの思考から抜け出しましょう。
- AIに「専門家チーム」を召喚しよう。 コピペOKのプロンプト一つで、多角的な視点を一瞬で手に入れられます。
- 深い洞察には専門家を2〜3人に絞る。 回答の解像度を上げたい時のプロの技です。
あなたが一人で抱えているその課題、さっそくAIドリームチームに相談してみませんか?
あなたはどんな専門家を召喚してみたいですか? 試してみて面白い答えが返ってきたら、ぜひコメントで教えてください!
参考プロンプト(技法5:複数の専門家の案をアイデアを発想する方法)
【基本形:AIドリームチーム召喚プロンプト】
多数の専門家(クリエイティブな専門家、技術専門家、ビジネス専門家、学術研究者、社会科学者、ユーザー、ディスラプター、ユーモアのセンスを持つ人々、冒険家)として〈ここにアイデアを得たい対象を記入〉について具体的な案を考えてください。
【応用形:専門家を2〜3人に絞るプロンプト】
「超一流のコピーライター」と「ノーベル賞を受賞した認知心理学者」として〈ここにアイデアを得たい対象を記入〉について具体的な案を考えてください。
参考書籍(技法?????)
この記事で解説した内容は、書籍『AIを使って考えるための全技術』で紹介されている50以上のテクニックのうちの1つです。もっとずるい思考法を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
・AIを使って考えるための全技術