新型コロナウイルスの感染を封じ込めるため、人同士の接触が制限されています。それにより、テレワークから遠隔授業、オンライン飲み会までデジタル化が加速しています。
過去のパンデミック(世界大流行)時には、低コストのビデオ会議システムはありませんでした。デジタル技術の進展は、経済や社会活動の継続に大きな力となっています。
テレビのコンテータ、最近最高経営責任者、経営コンサルタントは「緊急事態が終わっても世界は以前と同じ姿に戻らないだろう」と予想されています。
コロナとの闘いが長期化するれば、今後も密閉、密集、密接の「3密」を避ける必要があるからです。
テレワークには子育て世代などが働きやすくなる利点もあると思います。
日本は海外に比べてデジタル化が遅れていました。政府や産業界はこれを機に一気に追いつこうと、多くの構想を打ち出しています。
気になるのは経営効率性を最優先する発想が目立つ点です。例えば、テレワーク推進には、通勤費や出張費、オフィス賃料などコスト削減の狙いが色濃くうかがえます。
更に、工場では期間工が担う製品の組み立てなどをロボットに代替させる「ものづくりのデジタル化」を急ぐ動きがあります。「3密」を避けるため、工場レイアウトを見直して生産性を落とすよりも、感染の心配がないロボットを使う方が利益があがるとの発想です。
大手シンクタンクは「日本で機械や人工知能(AI)が代替できる可能性の高い職業が49%ある」と分析する。その反面、急激なデジタル化は雇用不安を助長する恐れがある。
実際、派遣先から雇い止めされたコールセンター社員からは「AIに切り替えられるのでは」などと不安の声が漏れています。
海外ではデジタル化の副作業も議論されています。米マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏は将来、AIやロボットに課税して、失業者の再教育に充てるべきだと提言されています。
工場のデジタル化が進み過ぎることには「現場で改善を重ねる日本のモノづくりの強みを失う」との懸念もあります。
行政手続きや医療のオンライン化など利点が明確な施策は急ぐべきだと思います。
一方、職場のデジタル化は雇用不安を抱える働き手にも配慮しながら進めることが重要です。