組織型から自律型へ
テレワークは、働き方のテクニカルシフトに過ぎない。情報通信技術を用いて場所や時間にとらわれずに働くことが可能です。
しかし、その実態は、オフィスでの業務をテレワークで代替しているにとどまっています。今、議論すべきことは、働き方の本質論にシフトしてきていることだと思います。
ポストコロナ時代の新たな働き方に関する成長戦略を練られた実行案には、兼業・副業の環境整備の方向性が示されています。
具体的な施策は
- 労働者の自己申告制導入
- 労働時間管理の簡便化
- 労働者災害補償保険の給付拡充
の三つです。
この方向には、明確な意図があります。兼業・副業を希望する者は近年増加傾向にあるものの、実施者は横ばいです。
この問題解決に向けた環境整備となってきている。自己申告制が導入されれば、労働者が兼業先で超過労働になったとしても、本業の企業は責任を問われません。
企業が労働者の働き方を管理していた日本型雇用から、労働者が自らの働き方をデザインする新たな働き方への大きな転換点を迎えることとなります。それは同時に、1つの組織の中で形成する。「組織内キャリア」から、複数の組織との関わりの中で形成する「自律型キャリア」への移行を意味します。
副業や兼業は、収入増加だけにとどまらない。新たな職業機会への挑戦により職業スキルの改善や向上、職場を超えたネットワークや社会関係資本の構築にもつながります。新しい働き方をキャリア開発の好機と捉え、これまでの働き方からのマインドチェンジと最初の一歩が必要です。