AIは「文房具」じゃない、「相棒」だ。『週末AI作家入門』に学ぶ50代からの知的再出発

キャリアの後半戦、セカンドライフを目前にして、ふと立ち止まる瞬間はありませんか?
「これまでの経験に、どんな価値があるんだろう?」
「このままで終わるのは、なんだか違う気がする…」

もしあなたがそんな思いを抱いているなら、AI、特にChatGPTとの新しい付き合い方が、人生を豊かにする大きなヒントになるかもしれません。

今回ご紹介するのは、私の著書『週末AI作家入門 ChatGPTと歩む50代からの知的再出発』。この本が提唱するのは、AIを単なる便利な文房具としてではなく、「共に考える相棒」として捉え直し、自らの経験や知識を「知的資産」として出版するという、新しい生き方です。

この記事では、本書の知見を元に、週末の時間を使ってあなただけの本を創り上げる「週末AI作家」への具体的なステップを深掘りしていきます。

目次

なぜ「50代以上」の経験が宝になるのか

本書が特に50代以上の世代に光を当てるのは、その世代が持つ「経験値の量と質」こそが、AI時代に輝く唯一無二の宝だと考えているからです。

ネットで検索しても決して出てこない、あなただけの成功体験、試行錯誤の物語、失敗から得た教訓。それらは、まだ言語化されていない「暗黙知」として、あなたの中に眠っています。

しかし、多くの場合、その価値に気づいていなかったり、「自分の経験なんて…」と謙遜してしまったりするもの。そこに、思考のパートナーとしてのAIが登場します。

STEP1: AIは最強の「壁打ち」パートナー

ビジネスでよく使われる「壁打ち」。自分の考えを相手に話すことで思考を深める手法ですが、AIが相手だとどう違うのでしょうか?

AIの真価は、私たちの思考を「引き出し、整理し、深める」手助けをしてくれる点にあります。

  • 遠慮がいらない: 人間相手だと気恥ずかしさや遠慮が先に立つような話も、AI相手なら気兼ねなく、何度でも試せます。
  • 24時間付き合ってくれる: 深夜に一人で考えがループしてしまう時も、AIは根気強くあなたの思考に付き合ってくれる最高のパートナーです。

AIとの対話は、忘れかけていた記憶を呼び覚まし、バラバラだった経験の点と点を繋ぎ合わせる、深い「内省」の時間そのものになるのです。

STEP2: 自分だけの「問いかけ先生」を育てる

とはいえ、素のChatGPTは「博識で物分かりのいい新人アシスタント」のようなもの。あなたの深い内面まで掘り下げるには、少し物足りません。

そこで重要になるのが、AIを自分専用にカスタマイズする「カスタムGPT」の活用です。本書では、著者が作成した「問いかけ先生」を例に、その作り方を解説しています。

  1. 役割を与える: 「経験豊富なビジネスパーソンの執筆を支援する優秀なインタビュアー」など
  2. 目的を明確にする: 「ユーザーが経験から本質的な学びを引き出す手助けをする」など
  3. 振る舞いを指示する: 「一方的に答えを教えず、常に問いかけで思考を深掘りする」「穏やかな雰囲気で接する」など

このように「あなたは何者で、どう振る舞うべきか」を具体的に教え込むことで、AIは単なるツールから、あなたの思考を的確に引き出すパーソナルな対話相手へと進化します。

STEP3: 週末10時間で本を書く!魔法の4ステップ

「本を書く」と聞くとハードルが高く感じますが、本書が提案するワークフローは驚くほどシンプルです。

【フェーズ1:壁打ちと素材出し(土曜午前・2時間)】

「問いかけ先生」との対話を通じて、頭の中にある経験や学びを思いつくままに語ります。質より量を重視し、まずはテキストデータとして吐き出すことに集中します。

【フェーズ2:設計図づくり(土曜午後・2時間)】

フェーズ1で得た大量のテキストをAIに読み込ませ、「この内容で読者の心に響く目次案とタイトル案を提案して」と依頼。AIが話の繋がりやテーマ性を見出し、本の骨格となる構成案を複数提示してくれます。

【フェーズ3:肉付け(日曜日・5時間)】

目次の各章ごとに、関連するエピソードをAIに渡し、ドラフトを作成してもらいます。ここでのポイントは「AIが6割、人間が4割で魂を込める」という共同作業。AIが作った叩き台に、あなた自身の言葉で修正・加筆し、血を通わせます。

【フェーズ4:仕上げ(日曜日・1時間)】

最後にAIに「優秀な編集者・校正者」の役割を与え、誤字脱字や不自然な表現をチェックしてもらいます。最終的にあなた自身が全体を読み通し、納得のいく形で完成です。

出版はゴールじゃない、スタートだ

原稿が完成すれば、Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)を使えば誰でも費用をかけずに出版が可能です。表紙デザインやタイトル案、紹介文の作成も、AIが強力にサポートしてくれます。

しかし、本書が伝える最も重要なメッセージは、「出版はゴールではなく、新たなスタートラインである」ということ。

完成した一冊の本は、いわばあなたの新しい「名刺」です。その内容を核として、AIの力を借りながら…

  • ブログ記事を作成する
  • SNSで発信する
  • セミナーを開催する

…といった形で、あなたの知的資産をさらに広く、深く展開していくことができます。AIと共に「学習・統合・発信」のサイクルを回し続けることで、あなたのセカンドキャリアは、よりアクティブで創造的なものになるでしょう。

最後に:「答え」より「問い」の時代へ

AIが進化するほど、人間にとって重要なのは「答えを出す力」よりも「本質的な問いを立てる力」になります。

AIとの対話は、突き詰めれば自分自身との対話です。「自分は何を大切にし、どうありたいのか」——その問いの深さが、AIから引き出せる洞察の深さを決め、ひいてはこれからの人生の豊かさを決めるのかもしれません。

あなたの中に眠る、まだ光の当たっていない経験という名の宝物。
もし、あなた専用の「問いかけ先生」が隣にいたら、最初にどんな問いを投げかけてみたいですか?

動画解説(約22分)

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この記事を書いた人

あなたの隣りに何時もいる『ITC顧問』こと、ふくろう博士です。ITC和歌山オフィスの『ITC顧問』スタッフとして、簡単・シンプル・手頃なICTツールを駆使して、あなたの会社の課題解決のお役立ち情報を呟いています。気軽に、フォローなどでお声をお掛けください。
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