
プロンプトより重要な「コンテキストエンジニアリング」とは?
はじめに
最近、
「良いプロンプトを教えてください」
という相談をよく受けます。
確かに、プロンプト(AIへの指示文)は重要です。
しかし、私は支援現場でこうお伝えしています。
「プロンプトよりコンテキストです」
実際、同じAIを使っても、
成果が出る人
成果が出ない人
がいます。
その違いは何でしょうか?
それは、
AIに与える情報量です。
私はこれを
「コンテキストエンジニアリング(文脈設計)」
と呼んでいます。
今回は、AI活用の成果を大きく左右するコンテキストエンジニアリングについて解説します。
プロンプトとは何か?
プロンプトとは、
AIへの指示文です。
例えば、
「営業メールを書いて」
もプロンプトです。
しかし、この指示だけでは良い結果は期待できません。
なぜなら、
AIには何も伝わっていないからです。
AIはエスパーではない
例えば新入社員に、
「提案書を作って」
と言ったらどうでしょう。
おそらく、
こう聞き返されます。
「誰向けですか?」
「何を提案するのですか?」
「どんな課題がありますか?」
「どのくらいのボリュームですか?」
つまり、
仕事の背景が分からないのです。
AIも全く同じです。
コンテキストとは何か?
コンテキストとは、
背景情報
前提条件
目的
制約条件
対象者
過去の経緯
などのことです。
つまり、
AIが仕事をするために必要な情報です。
悪い依頼例
営業メールを書いてください。
AIは書けます。
しかし、
誰に?
何を?
なぜ?
が分かりません。
結果として、
どこかで見たような一般論になります。
良い依頼例
私は和歌山市で活動するITコーディネータです。
対象は従業員20名程度の製造業経営者です。
課題は紙とExcelによる二重入力です。
Googleフォームを活用した業務改善提案を行います。
無料相談へつなげる営業メールを300文字で作成してください。
どうでしょう。
AIが理解できる情報量がまったく違います。
なぜコンテキストが重要なのか?
AIは、
知識不足で失敗するのではありません。
情報不足で失敗するのです。
例えば、
優秀な営業マンでも、
顧客情報がなければ提案できません。
優秀なコンサルタントでも、
現状を知らなければ助言できません。
AIも同じです。
辻本式コンテキスト設計の5要素
私はAIに仕事を頼む時、
必ず次の5つを伝えます。
①役割(Role)
あなたは誰ですか?
例
・ITコーディネータ
・営業担当者
・経営コンサルタント
・マーケティング専門家
②目的(Goal)
何のために行うのですか?
例
・無料相談を獲得する
・売上向上
・業務改善
・採用強化
③対象(Target)
誰に向けた仕事ですか?
例
・製造業経営者
・小規模事業者
・主婦
・新入社員
④背景(Context)
現状はどうなっていますか?
例
・紙管理が多い
・属人化している
・人手不足
・AI初心者
⑤成果物(Output)
何を作るのですか?
例
・ブログ記事
・提案書
・営業メール
・チラシ
・セミナー資料
コンテキストで結果はここまで変わる
例えば、
指示①
ブログ記事を書いてください。
すると、
一般的な記事になります。
指示②
あなたは37年間IT業界で活動してきたITコーディネータです。
対象は中小企業経営者です。
テーマは業務整理です。
読者が無料相談したくなるように、
2,000文字のSEO記事を書いてください。
まったく別の結果になります。
コンテキストエンジニアリングとは?
私は、
AIへの仕事の頼み方を設計する技術
と定義しています。
従来は、
「プロンプトエンジニアリング」
という言葉が使われていました。
しかし今は、
プロンプトだけでは不十分です。
AIが進化した現在、
重要なのは
「何を命令するか」よりも
「どんな状況を理解させるか」
なのです。
NotebookLMとの相性が抜群
前回紹介したNotebookLMは、
コンテキストの宝庫です。
例えば、
・業務マニュアル
・提案書
・議事録
・成功事例
をNotebookLMに登録します。
その情報をGeminiへ渡すことで、
AIの回答品質は劇的に向上します。
中小企業での活用例
私は実際に、
業務改善カルテAI
提案書作成AI
セミナー企画AI
ブログ記事作成AI
業務モヤモヤ診断AI
を作っています。
共通しているのは、
長いプロンプトではなく、
豊富なコンテキストです。
AI活用で失敗する会社の特徴
AIに
「なんか良い感じに作って」
と頼む会社です。
これでは成果は出ません。
なぜなら、
人間でも困るからです。
AI活用で成功する会社の特徴
成功する会社は、
業務整理ができています。
つまり、
目的
ルール
手順
判断基準
が整理されています。
だからAIも活躍できます。
AIは優秀な社員になる
私はいつもこうお伝えしています。
AIは優秀な社員になります。
しかし、
優秀な社員でも、
会社のことを教えなければ成果は出せません。
その教育こそが、
コンテキストエンジニアリングです。
まとめ
これからのAI活用で重要なのは、
プロンプトの長さではありません。
コンテキストの質です。
AIに仕事を頼む時は、
①役割
②目的
③対象
④背景
⑤成果物
を伝えてください。
すると、
AIは単なるチャットボットではなく、
あなたの会社専属の優秀な社員になります。
そして忘れてはいけません。
AI活用の成功は、
業務整理から始まります。
業務整理
↓
業務改善
↓
DX
↓
コンテキスト整備
↓
AI活用
↓
生産性向上
これが私が現場で実践している
「生産性向上DX5ステップ」
です。
AIは優秀な社員になる。
その前に、業務整理。
そして、
AIに仕事を頼む前に、
コンテキストを整える。
これがAI活用成功の秘訣です。
次回予告
「AIは問いで決まる
成果を10倍変える“質問力”の磨き方」
AI時代に最も重要なスキルは、
実はITスキルではありません。
『問いを立てる力』
です。
次回は、ソクラテスの質問法にも通じる
「AI時代の質問力」について解説します。