【第27回】【アイデアが出ない人必見】AIと写真1枚で創造性を爆発させる『机の上の散歩』術

「何時間も考えているのに、全く新しいアイデアが浮かばない…」
「もう考え尽くした…」と八方塞がりな気持ちになっていませんか?

企画会議や新商品開発、コンテンツ制作など、私たちは常に新しいアイデアを求められます。しかし、考えれば考えるほど思考が堂々巡りになり、行き詰まってしまうことは誰にでもある経験です。

そんな時、気分転換に散歩や旅行に出かけると、ふと画期的なアイデアが閃いたという話を聞いたことはないでしょうか。

この記事では、その「散歩や旅行」と同じ効果を、あなたのデスクで、たった1枚の写真とAIを使って実現する画期的な発想法**『机の上の散歩』**をご紹介します。科学的にも裏付けられたこの新技法で、ガチガチに凝り固まったあなたの脳を強制的にリフレッシュさせ、自分でも驚くような意外なアイデアを生み出してみませんか?

目次

なぜ私たちの思考は行き詰まるのか?

そもそも、なぜ私たちの思考は行き詰まってしまうのでしょうか。その原因の一つに、心理学の世界で「機能的固着」と呼ばれる現象があります。

これは、あるモノに対して「これが普通の使い⽅だ」という強い思い込み(固定観念)にとらわれ、それ以外の斬新な使い方を思いつけなくなる思考のワナのことです。

この現象を提唱した心理学者カール・デュンカーは、有名な「ロウソク問題」という実験を行いました。

【ロウソク問題】被験者に「ロウソク」「画鋲」「マッチの箱」を見せ、「ロウが垂れないようにロウソクを壁に取り付けてください」と指示します。

多くの人は、箱を「画鋲入れ」としか認識できず、ロウを直接溶かして壁につけようとするなど、失敗に終わってしまいます。しかし、答えは非常にシンプル。「箱をロウソクの台座として壁に画鋲で取り付ける」だけなのです。

これは、私たちが無意識のうちに「箱はモノを入れるものだ」という固定観念に縛られていることを示しています。アイデア出しの行き詰まりも、これと同じメカニズムで起こっているのです。

固定観念を打ち破る鍵は「無関係な情報」

では、この強力な固定観念をどうすれば破壊できるのでしょうか。
そこで有効なのが、散歩や旅行です。これは単なる気分転換ではありません。

散歩や旅行をすると、普段の環境から離れ、課題とは全く関係のない新しい情報(知らない街並み、自然の風景、人々の会話など)に強制的に触れることになります。これが脳に新しい刺激を与え、「機能的固着」を破壊する引き金となるのです。

心や思考がさまよっている状態、いわゆる「マインドワンダリング」が起こると、脳の特定のネットワークが活性化し、記憶の断片が結びつき、新しいアイデアが生まれやすくなることが近年の研究で示唆されています。

新発想法!AIと写真で実現する「机の上の散歩」

とはいえ、アイデアを出すためだけに、わざわざ散歩や旅行に出かける時間を作るのは難しい、という方も多いでしょう。

そこで今回ご提案するのが、AIとたった一枚の写真で「机の上の散歩」を体験する新技法です。

この方法を使えば、場所を選ばずに創造性を刺激し、「機能的固着」を強制的に破壊することができます。

実践!「新しいレトルトカレー」を考えてみよう

それでは、具体的な手順を見ていきましょう。
今回は「全く新しいレトルトカレーを開発して、ヒットさせる」というお題で実践してみます。

準備するもの

  • AIチャットツール(Gemini, ChatGPTなど画像認識ができるものが望ましい)
  • お題とは全く関係のない写真1枚(今回は「ナイアガラの滝」の写真を使用)

ポイントは、お題と全く関係のない写真を選ぶことです。これにより、意図的に思考を「脱線」させ、脳に新しい刺激を与えます。

AIへのプロンプト
次に、AIに以下のプロンプト(指示文)を投げかけます。

この画像から思い浮かぶことを10個あげてください。次にそれを材料にして〈全く新しいレトルトカレーを開発して、ヒットさせる〉として妥当なものを3つ、意外なものを3つ考案してください。

AIの回答例
すると、AIはまず写真から連想されるキーワード(「ナイアガラの滝」「圧倒的な水量と轟音」「マイナスイオン」「虹」など)を挙げた後、それらをヒントにしたカレーのアイデアを提案してくれます。

例えば、以下のような意外なアイデアが生まれました。

  • 商品名:「轟音!クラッシュスパイスカレー」
    • コンセプト:滝の轟音と激しい水しぶきを、口の中の「食感」で再現する体験型カレー。
    • 特徴:刺激的なキーマカレーに、後乗せの「クラッシュスパイス&ナッツ」の小袋を別添。食べる直前に振りかけることで、ザクザク、バリバリとした轟音のような食感が楽しめる。
  • 商品名:「大地の断層(ジオ)カレー」
    • コンセプト:滝のそばにある崖の「地層」からインスピレーションを得た、層状のカレー。
    • 特徴:特殊な充填技術により、レトルトパウチの中で「スパイシーなキーマカレー」「ほうれん草のサグカレー」「豆のダルカレー」が美しい三層になっている。お皿にそっと注ぐと、地層のような見た目が現れる。

いかがでしょうか。単に「カレー」というお題だけで考えていては、なかなかたどり着けないユニークな切り口のアイデアが生まれています。これが「無関係な情報」の力です。

以前、同じお題を「パズル」という単語から発想した際は、「カラクリ箱カレー」や「古代遺跡の秘宝カレー」といった、商品のコンセプトに関するアイデアが中心でした。しかし、今回の「写真」から生まれたアイデアは、「食感」や「見た目」といった、顧客が体験するベネフィットにまで踏み込んだ、より具体的で深みのあるものになっています。

まとめ

思考が行き詰まった時、私たちはつい同じ場所をぐるぐると回り続けてしまいます。そんな時は、強制的に思考を脱線させ、新しい景色を見せてくれる「机の上の散歩」を試してみてください。

  1. 思考の行き詰まりは「機能的固着」が原因。
  2. 破壊の鍵は、課題と「無関係な情報」に触れること。
  3. AIと写真1枚で、いつでもどこでも創造性を刺激できる。

あなたが行き詰まっているその課題に、全く無関係な一枚の写真をAIに見せてみませんか?きっと、予期せぬ化学反応が起き、あなたを新しいアイデアへと導いてくれるはずです。

参考メタプロンプト

この画像から思い浮かぶことを10個あげてください。次にそれを材料にして〈 アイデアを得たい対象を記入 〉として妥当なものを3つ、意外なものを3つ考案してください。

(コピペして〈〉の中身をあなたのテーマに変えるだけで使えます)

参考書籍

この内容は、書籍『AIを使って考えるための全技術』で紹介されている50以上のテクニックのうちの1つです。もっとずるい思考法を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
👉・AIを使って考えるための全技術

また、壁打ちについては、『AI壁打ち入門』もおススメです!

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この記事を書いた人

あなたの隣りに何時もいる『ITC顧問』こと、ふくろう博士です。ITC和歌山オフィスの『ITC顧問』スタッフとして、簡単・シンプル・手頃なICTツールを駆使して、あなたの会社の課題解決のお役立ち情報を呟いています。気軽に、フォローなどでお声をお掛けください。
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