働き方改革として自由な働き型の実現の面から導入が進められていたテレワークですが、新型コロナウイルスによる外出自粛のため「やむにやまれず」といった形で急速に導入が進んでいます。
実際にテレワークを取り入れた現場では、事前から準備していた企業はともかく、緊急的に導入した企業では、普段のようにうまく仕事ができないといった状況がどうしてもあるようです。
今回の記事ではテレワークを行う際につまづきやすいポイントとその対応方法をご紹介していきます。
テレワークについてのおさらい
テレワークとはICT技術を活用し、離れた所(tele)で働く(work)という働き方です。
オフィスではなく自宅やその他の外出先から仕事をすることを指し、テレワークを行うためのツール類も普及してきたことからテレワークと親和性の高い業種では導入が進められていました。
それが、今回の新型コロナウイルスによる感染症の拡大に伴い、元々テレワークを想定していない業種や、中小企業などの環境が準備しきれていない会社でも、否応なしにテレワークを実施する必要が発生しています。
しかし、十分に準備が出来ていなかった企業をはじめ、想定しないない形でテレワークへ移行したことで多くのトラブルや問題が発生してしまっている状況を見受けます。
テレワーク、やってみてわかった問題点と解決方法
1. オフィスとの環境の違いによるケース
● PCの処理速度が落ちた
オフィスと家で使うPCの違いや、ネットワークを介することにより、処理にかかる速度が下がってしまう場合があります。この場合、まずはどこが原因となってレスポンスが低下しているのか、問題を切り分けた上で必要な環境を整えましょう。
自社で上手くできない場合は、総務省が無料で実施するテレワークマネージャー相談事業を利用したり、環境を整えるために厚生労働省や経済産業省、各地方自治体の設ける助成金を利用するのも1つの手です。
● 連携先のリアクションが見えない
自社内や他社とのやり取りなど、テレワークでは直接的な会話よりもメールやチャット、電話、ビデオ通話などのコミュニケーションが中心となり、相手の表情や話し方などから得ていた感触などは受け取りづらくなります。
コミュニケーションツールに習熟し、相手に伝えたいことをきちんと伝え、相手の言いたいことをきちんと確認するといったことを今まで以上に意識しなければなりません。
● IT関連ツールの使い方が分からない
テレワークではPCやテレワーク用のソフトウェアを利用することが必須になります。
しかし、そういったツールの使い方に詳しくない人も、オフィスのように周りの人に気軽に聞けたり、詳しい人からサポートをしてもらえる環境はありません。
インターネットを使って自分で使い方を調べるなど、自分でどうにかして問題を解決する方法を身に着けることが求められます。
● 問題が発生したとき気軽に聞ける相手がいない
先ほど挙げたITツール関連の問題や業務の内容に関する問題が発生した場合、頼れる上司や先輩はすぐ近くにはいません。
仕事とは必ず1人で完結しなければならないというものではありませんが、いざ問題やトラブルが発生したときのために上司や先輩と話し合うなど事前に対処方法を相談しておきましょう。
2. 業務がテレワークに対応出来ていないケース
● ペーパーレスにできておらず家では資料が見れない
業務で使用する資料がデジタル化されておらず、紙ベースでの運用を行っている場合は、テレワークでの作業は大変難易度が高くなります。
この問題は組織で取り組み、ペーパーレス対応を行っていくしかありません。
インターネット上のコミュニケーションツールやクラウドストレージサービスなどを上手に利用するように業務を組み立てなおすことが解決策となります。
● 上司の承認やハンコをもらう手続きが不便
予算の稟議書や各種の事務手続きを行う際には、資料を印刷して、上司の承認を得て、ハンコを捺してもらって・・・という手順をとっている会社は未だに少なくありません。
これも組織的な取り組みが必要で、ワークフローの導入などデジタル化を進める取り組みをしていく必要があります。
3. 労働条件に関する問題
● 勤務時間が把握できない
オフィスに出勤していればタイムカードやタイムレコーダーで勤務時間を管理することができますが、テレワークの場合はオンラインで労働時間を記録できるツールの導入が必要となるでしょう。
また、レコーダーに記録されていない時間に仕事をしていないか、見えないところで勤務時間の超過が発生していないかを上司は把握しなければなりません。
さらには仕事に対する評価も勤務態度ではなく作業のアウトプットを中心に評価する仕組みとする必要があるでしょう。
● シャドーITの問題
シャドーITとは企業や組織で認識していないデバイスやクラウドサービスを従業員や業務部門が利用する問題です。
シャドーITは、サイバー攻撃の踏み台や情報流出の発生源となってしまうため問題視されている行為です。社内の情報システム部門やIT部門、管理業務部門で利用可能なITサービスを定め、シャドーITの利用を防ぐルール作りをしなければなりません。
その際は、やみくもに利用禁止とするのでなく、利用者のニーズを考慮して利用するツールを策定することも重要です。
● 家族の割込み問題
テレワークを家の中で行う場合、事前に家族の理解を得ておく必要もあります。
配偶者や子どもと同居している場合、あなたが家で行う作業内容について前もって説明をしておかなければ仕事をしていると認識されないこともあるようです。
仕事に没頭している時に話しかけられたり、用事を頼まれたりしてしまうと集中力がそがれてしまい、業務効率の低下に繋がってしまいかねません。
家族には事情をきちんと話し、業務に集中できる環境を作っておくことが必要です。
終わりに
今後も続きそうな外出自粛や感染防止対策。多くの企業にとってテレワークの成功はとても重要な課題となっています。
ウイルスとの戦いにみんなで力を合わせて取り組まなければいけないのと同じで、テレワークで発生する問題の解決は、組織ぐるみで一丸となって適応していかなければいけません。
大変な時だからこそ互いに協力しあうことで、以前とは異なる環境でもうまく仕事を回していく方法があるはずです。
【関連リンク】
・テレワークの推進(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/
・新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワークの積極的な活用について(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/02ryutsu02_04000341.html
・テレワークに関する助成、補助(一般社団法人日本テレワーク協会)
https://japan-telework.or.jp/tw_about-2/subsidy/
・総務省令和2年度 テレワークマネージャー相談事業(株式会社NTTデータ経営研究所)
https://www.nttdata-strategy.com/r01telework/
・IT導入補助金2020(一般社団法人 サービスデザイン推進協議会)
https://www.it-hojo.jp/
・働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
・新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成内容(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html