
はじめに
「朝から晩まで働いているのに利益が増えない」
「社員も一生懸命頑張っているのに仕事が終わらない」
「忙しい割に成果が出ている気がしない」
私は企業支援の現場で、このような相談を数え切れないほど受けてきました。
しかし、その原因を詳しく調べていくと、
社員が怠けているわけでも、
経営者の努力が足りないわけでもないことがほとんどです。
本当の原因は、
見えないムダ
にあります。
実は多くの会社では、
利益を生まない仕事に大量の時間を使っているのです。
今回は、
「なぜ頑張っているのに成果が出ないのか?」
その原因となる「見えないムダ」の正体についてお話しします。
頑張っているのに成果が出ない会社の共通点
私は相談の際に、
まず次の質問をします。
「今、一番忙しい仕事は何ですか?」
すると、
請求書作成
日報集計
見積作成
顧客対応
在庫管理
など様々な答えが返ってきます。
しかし、
さらに詳しく聞いていくと、
驚くほど多くの時間が
利益を生まない作業
に使われていることが分かります。
ムダは目に見えない
工場のラインで部品が余っていれば、
誰でもムダだと分かります。
しかし、
事務作業のムダは見えません。
例えば、
5分の作業。
10分の確認。
3分の探し物。
これらは小さな時間です。
しかし、
毎日積み重なるとどうでしょう。
1日30分。
月10時間。
年間120時間以上になることもあります。
つまり、
会社の利益は、
大きな問題ではなく、
小さなムダによって失われていることが多いのです。
見えないムダ①
二重入力
最も多いムダです。
例えば、
紙に記入
↓
Excelへ入力
↓
システムへ入力
同じ情報を3回入力しています。
入力している本人は、
当たり前になっているため気付きません。
しかし、
これは典型的なムダです。
見えないムダ②
探し物
私はこれを
「情報の迷子」
と呼んでいます。
例えば、
「あの見積書どこ?」
「あのメールどこ?」
「あの契約書どこ?」
という状態です。
探している時間は、
利益を生みません。
しかし、
多くの会社で毎日発生しています。
見えないムダ③
確認待ち
仕事が止まる時間です。
上司の確認待ち。
社長の承認待ち。
担当者の返事待ち。
実際には作業していないのに、
業務は進みません。
これも大きなムダです。
見えないムダ④
属人化
「あの仕事は○○さんしか分からない」
という状態です。
本人は効率よく仕事をしているつもりでも、
会社全体で見ると非常に危険です。
休暇
異動
退職
のたびに業務が止まります。
見えないムダ⑤
会議のための会議
会議をすることが目的になっているケースです。
議論はした。
しかし、
誰が
いつまでに
何をするのか
決まっていない。
これでは成果につながりません。
なぜムダに気付かないのか?
理由は簡単です。
毎日やっているからです。
人は、
繰り返していることを
「当たり前」
だと思います。
しかし、
当たり前の中にこそ改善の種があります。
ある企業の事例
以前支援した企業では、
毎日30分かけて日報を集計していました。
担当者は、
「仕事だから仕方ない」
と思っていました。
しかし調べてみると、
Googleフォームを使えば、
自動集計できる内容でした。
結果として、
年間120時間以上の削減につながりました。
本人は頑張っていました。
しかし、
頑張る方向が違っていたのです。
ムダを見つける魔法の質問
私は業務整理の際に、
必ず次の質問をします。
なぜこの仕事をしているのですか?
本当に必要ですか?
他の方法はありませんか?
やめたら困りますか?
この質問だけで、
多くのムダが見えてきます。
辻本式「やめる・減らす・整える」
私は業務改善を進める時、
いつも次の順番をおすすめしています。
やめる
不要な仕事をなくす。
減らす
回数や手間を減らす。
整える
標準化する。
多くの会社は、
いきなりシステムを導入します。
しかし、
ムダな仕事を残したままでは、
成果は出ません。
AI時代だからこそ重要
最近はAIブームです。
しかし、
ムダな仕事をAIにやらせても意味はありません。
例えば、
不要な報告書。
不要な集計。
不要な資料作成。
これらをAIで効率化しても、
ムダが早くなるだけです。
まず必要なのは、
その仕事が本当に必要か考えることです。
生産性向上とは何か?
私は生産性向上を、
「頑張らずに成果を出す仕組みづくり」
だと考えています。
長時間働くことではありません。
人を増やすことでもありません。
ムダをなくし、
価値ある仕事に集中することです。
業務モヤモヤ診断との関係
前回ご紹介した
「業務モヤモヤ診断」
は、
まさにこの見えないムダを発見するための仕組みです。
診断によって、
・二重入力
・情報分散
・属人化
・改善停滞
が見えてきます。
つまり、
モヤモヤの正体が分かるのです。
まとめ
頑張っているのに成果が出ない。
その原因は、
努力不足ではありません。
多くの場合、
見えないムダです。
二重入力。
探し物。
確認待ち。
属人化。
不要な会議。
これらは毎日少しずつ会社の時間を奪っています。
だからこそ、
まず必要なのは業務整理です。
業務整理
↓
業務改善
↓
DX
↓
AI活用
↓
生産性向上
この順番で進めることで、
初めて本当の成果が生まれます。
もし今、
「忙しいのに成果が出ない」
と感じているなら、
頑張り方を変える前に、
仕事の流れを見直してみてください。
改善のヒントは、
意外と身近なところに隠れています。
次回予告
属人化はなぜ起きるのか?
「あの人しか分からない仕事」が会社を弱くする理由
多くの中小企業が抱える属人化問題。
なぜ起きるのか?
どうすれば解消できるのか?
次回は、業務改善の大きな壁である「属人化」について解説します。